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『簡體書』坂口安吾——文学与批判

書城自編碼: 3925326
分類: 簡體書→大陸圖書→文學文学理论
作者: 李慧
國際書號(ISBN): 9787577200392
出版社: 华中科技大学出版社
出版日期: 2023-11-01

頁數/字數: /
書度/開本: 16开 釘裝: 平装

售價:NT$ 347

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編輯推薦:
与太宰治齐名的坂口安吾,是川端康成、三岛由纪夫等作家推崇备至的文学大师。近年来,随着坂口安吾的作品陆续在国内出版,其在国内的人气日渐高涨,但研究坂口安吾文学的专著尚未出现,本书抛砖引玉,以期引起文学研究者对他的关注。
內容簡介:
本书研究坂口安吾作品,分为三个部分。第一部分主要论述坂口安吾早期作品,这期间坂口安吾创造了一些滑稽剧,他用滑稽小说的形式讽刺日本天皇制,表达了对日本军国主义的强烈不满。第二部分主要对坂口安吾二战后的作品进行论述。二战后,日本军国主义各项政策被废除,但保留了天皇制,坂口安吾对此明确反对。这期间,坂口安吾显示了旺盛的创作力,成为“无赖派作家”的代表。第三部分主要将同时代的中国作家与坂口安吾进行对比,所选作家包括端木蕻良、萧红、萧军,阿垅、夏衍等。
關於作者:
李慧 女,广岛大学(日本)博士,现为江苏海洋大学日语教师。专业方向为日本文学,研究方向为日本近现代文学,教授基础日语、日本文学等课程。发表『明治開化安吾捕物帖』の「狼大明神」における<神>の表象[J],『中国古典文学研究』(18),2022:62-76;《狂人遗书》中的战争批判【J】.江苏海洋大学学报(人文社会科学版),2022(6):67-74.等独著科研论文数篇。
目錄
序章 001
1 坂口安吾という作家 001
2 日本における「アジア太平洋戦争」とは 002
3 先行研究と考察対象 006
4 研究方法 010


第1章 坂口安吾の「アジア太平洋戦争観」(1931年~1945年) 011
1 『盗まれた手紙の話』における皇国史観批判Ⅰ 015
2 『イノチガケ』における皇国史観批判Ⅱ 033


第2章 戦時から戦後へ 056
第1節 坂口安吾における戦後社会の「実相」(1945年~1950年) 063
1 『白痴』における<明日の希望>の意味 063
2 『外套と青空』における「家制度」否定 077
3 『女体』における肉体の敗北が意味するもの 089
4 『不連続殺人事件』と法律改正の問題 106

第2節 坂口安吾における「再軍備」反対(1950年~1955年) 122
1 『明治開化安吾捕物帖』の「狼大明神」における<神>の意味 122
2 『神サマを生んだ人々』における天皇制批判 140
3 『狂人遺書』における再軍備批判 156

終章 176
参考資料 178
あとがき 185
內容試閱
序章1 坂口安吾という作家 坂口安吾は、本名を坂口炳五という。1906年に新潟県新潟市に生まれ、13人兄弟の12番目であった。1931年1月に処女小説『木枯の酒倉から』で文壇デビューし、6月に『風博士』を発表したことで、一躍新進ファルス作家として注目されるようになった。戦後、『堕落論』、『白痴』などで人気を集め、文壇の地位を築いた。それ以外に、歴史小説と推理小説も多産している。1955年に脳出血で急死した。アジア太平洋戦争中、日本帝国政府は、順調に対外侵略戦争を強行するために、天皇制を中軸とする国民思想統合を進めていた。それに伴い、治安維持法、国家総動員法、言論?出版?結社等臨時取締法などが整備強化された。このような厳しい政治環境の中、体制に迎合する作家もいれば、抵抗する作家もいた。安吾の場合はどうだろうか。安吾は、真珠湾攻撃を実行した「九軍神」を称える『真珠』(1942年)を発表し、また『鉄砲』(1944年2月)の中で、「飛行機をつくれ。それのみが勝つ道だ」と叫んだことで、時局に合わせた嫌疑が持たれたが、全体的に安吾には、あえて時局に合わせたような作品はあまり見られない。しかも、戦争末期に近づけば近づくほど創作数が少なくなっている。このような状況から見ると、安吾には、厭戦情緒があったのではないかと考えられる。敗戦後、安吾は、旺盛な創作力を示し、太宰治、織田作之助、石川淳らと共に、無頼派と呼ばれ、アメリカが主導して施行した民主改革、民主憲法を歓迎する言論を発表した。朝鮮戦争勃発後には、再軍備反対の姿勢も示している。晩年、『安吾の新日本地理』(1951年)、『安吾史譚』(1952年)などを創作するために実地調査し、「安吾歴史」を創作しようとしたものの、安吾自身の急死でその歴史像が完全に見えなくなったのは残念である。自分なりの歴史観を作ろうとするのは、おそらく「天皇制」反対、ひいては再度の戦争への憂慮から生まれた考えだと思われる。では、なぜ今この時期に「坂口安吾文学における戦争観」を取り上げるのか。日本では、2013年、安倍晋三が総理任期中に靖国神社を参拝し、国内外、特にかつて日本の侵略で被害を被ったアジア諸国より批判の声を浴びた。また、近年、安倍首相が憲法改正を着実に進めようとする一連の動きに対し、国内外で賛否両論の声が上がっている。こうした世界中から注目を浴びた行動は、いずれもアジア太平洋戦争と深く関係している。戦争からすでに数十年が経過したとはいえ、戦争責任の件になると、その認識の相違から、中日両国の間には必然的に隔たりが生じ、それは両国関係に直接影響する。坂口安吾は、近年中国でも有名になり始めたものの、あまり研究されていない。安吾の文学を研究することは、日本国民の大多数を代表する作家、あるいは侵略した側の戦争文学に、どのように厭戦?反戦が描かれたかを判明させることが期待できる。2 日本における「アジア太平洋戦争」 とは日本がかつて発動した1931年から1945年にかけての戦争は、戦時下には「大東亜戦争」、終戦後、アメリカの命令に従って「太平洋戦争」、一九五〇年代には「十五年戦争」、また一九八〇年代には「アジア太平洋戦争」と呼ばれてきた。この一連の呼称の変化に、日本人のこの戦争への見方が示されている。「十五年戦争」という呼称は、1956年に鶴見俊輔によって提唱されたものである。鶴見は、その理由について、「この戦争を一九三一年に始まった『満州事変』からの不連続のようにみえて連続する戦闘状態の脈絡のなかにおくためでした」と語っている。そして、江口圭一は、それを継承し、その著書『十五年戦争小史』の中で「十五年戦争」を三つの段階に分けている。第一段階は、1931年9月18日の柳条湖事件をきっかけとする九一八事変、第二段階は、1937年7月7日の盧溝橋事変を発端とする中日全面戦争、第三段階は、1941年12月8日の真珠湾攻撃で始まった太平洋戦争である。終戦直後に呼ばれていた太平洋戦争は、江口の本によれば「十五年戦争」の第三段階にすぎないこととなる。十五年戦争は、結局、日本の敗戦で終結したが、日本側はアジア諸国に負けたとは思っておらず、米英に対する敗戦であったという認識が強い。その関係から、鶴見が指摘したように、この戦争はアメリカに対する戦争であったと見なす傾向がある。日本敗北に続く年月に、日本人は米国政府から貸与された眼鏡を通して過去を見て、この戦争を主として米国に対する戦争として考えるようになり、こうして、中国との戦争という脈絡からこの戦争を切り離すようになりました。そうすることによって、日本人は、長いあいだ軍事上の弱者として見てきた中国に敗けたという不名誉な事実を見ないですますことができました。十五年戦争という呼称の定着には、戦後、日本がこの戦争をアメリカに対する戦争と見なすこと、また中国への責任逃れや蔑視に対し、強い批判を込めた点が伺える。その後、「アジア太平洋戦争」という呼称が1984年に副島昭一によって提唱され始めた。副島は、第二次世界大戦がヨーロッパ戦線とアジア?太平洋戦線に区分されている考え方からこの名称を提唱したのである。この「アジア太平洋戦争」という呼称は現在定着している。アジア太平洋戦争は、日本が民族主義の元で行った対外侵略戦争である。侵略の範囲は、中国、東南アジア、太平洋の島々などが含まれている。日本はこの戦争で加害者と被害者を同時に演じ、アジア諸国と自国に甚大な人的、物的被害を与えた。その中でいうまでもなく中国が蒙った被害は*も甚大であり、中国の死傷者数は3500万人(庶民と軍人)である。太平洋戦争における日本の死者数は、厚生省の発表によると310万人(軍人軍属230万、沖縄住民を含む在外邦人30万人、内地50万人)となっている。また、戦争末期、広島?長崎に原子爆弾が投下されたことで、世界で唯一の被爆国となり、広島?長崎の人々には世界で初めての悲惨な体験を負わせたのである。戦後、アメリカは日本統治の便宜のため、日本の戦争責任を追及しなかった。十五年間の戦争は、天皇の名により行われたにも関わらず、終戦時、天皇の戦争責任が追及されないばかりか、退位さえしなかった。また、戦争責任問題について、日本政府が全く反省していない証拠の一つとして、南京大虐殺についての記述が挙げられる。外務省のホームページには、日本政府としては、日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できないと考えています。しかしながら、被害者の具体的な人数については諸説あり、政府としてどれが正しい数かを認定することは困難であると考えています。(括弧原文)と書いてある。これはユダヤ人虐殺の歴史に対するドイツの態度とは完全に異なるものである。数字の正確さに拘る観点から、日本は責任を逃れる傾向にある。さらに、1978年になると、東京裁判でA級戦犯とされ処刑された東条英機元首相ら14人が、靖国神社に合祀された。その後、中曽根康弘元首相、小泉純一郎元首相、安倍晋三首相が在任中に靖国神社を参拝している。首相在任中の靖国神社参拝には、侵略戦争を美化する疑いが持たれる。一方、中国側の抗日戦争観はどのようなものであろうか。先述したように、アジア太平洋戦争に対する日本側の呼称の変化には、中国およびアジア諸国への蔑視が滲んでいる。戦争末期、空爆、原爆を経験した日本は、強大な軍事力を持つアメリカに屈服し、そこから中国とアジア諸国の抵抗を無視する傾向が生じた。しかし、中国側の必死の抗日戦争のおかげで日本の南進政策が破壊され、世界反ファシズム戦争に大きな貢献をしたことは言うまでもない。中国は世界反ファシズム闘争の主要戦場の一つであった。中国のこの主要戦場があったが故に、東方における反ファシズムの勝利があったのである。*も多くの日本軍と交戦したのは中国である。(略)太平洋戦争勃発後も、日本陸軍の主力は中国戦場に展開していた。中国が殲滅した日本軍の数は*も多い。(略)中国は、日本ファシズムに勝利するために二千余万人もの死者を出し、*も高い代価を支払ったのである。中国戦線では、特に1937年の中日全面戦争勃発後、中国が日本を牽制したことで、同盟国がファシズム諸国と戦うための、より有利な戦場を作り出し、その後の勝利へと導くことに大きく貢献したのだという観点である。このように、戦争責任や歴史認識への違いがあることから、中日両国に摩擦が生じるのは避けられないことだと言える。3 先行研究と考察対象 坂口安吾の先行研究については、内容で分けると、歴史小説の典拠研究、ファルスの意味研究、天皇制研究、安吾の生涯に関する考察などを中心に行なわれている。まず、典拠研究については、原卓史がその著書『坂口安吾 歴史を探偵すること』(2013年5月)の中で安吾の歴史小説の典拠を詳しく考察している。ファルス研究については、佐々木中が『戦争と一人の作家:坂口安吾論』(2016年)の中で、安吾が果たしてファルスを書き得たかどうかに疑問を呈し、*終的に次のような結論を下している。安吾がみずからの定義になるファルスを書き得なかった理由が。それは、彼がみずからの作品のなかで自分自身を「突き放し」「笑う」ことができなかったからだ。また、兵藤正之助はその著書『坂口安吾論』(1972年12月)の中で、安吾研究の等閑にふされる「メタフィジシャン」としての一面について検討し、次のように述べている。彼のそうした形而上学的世界を志向するさまについては、「桜の森の満開の下」という秀作が、「鬼の目の幻想」によって生みだされ、孤独が、見事に形而上化されている(略)。さらにはまた、(略)二十代の坂口が、否定、否定の頂きから、肯定、大肯定の場へと身をひるがえし、彼のファクスの世界を現成していった経緯も亦、多分に形而上的世界への志向の表われと考えられるわけ。天皇制研究について、柄谷行人は『坂口安吾論』(2017年10月)の中で、天皇制やフロイトと絡めて考察している。安吾の生涯については、七北数人がその著書『評伝坂口安吾:魂の事件簿』(2002年6月)の中で、安吾の作品分析ではなく、新潟の坂口家の盛衰、安吾の作家デビューの経緯、青春期の過ごし方、戦中戦後における重要な作品の成立について詳しく考証している。しかし、安吾の戦争観について系統的に論じる本は、管見の限りまだない。また、従来の研究では、重要だと思われる作品が多く研究されてきた。たとえば、戦前では、『イノチガケ』(1940年7月)、『真珠』(1942年6月)、戦後では、『白痴』(1946年6月)、『桜の森の満開の下』(1947年6月)、『青鬼の褌を洗う女』(1947年10月)、『夜長姫と耳男』(1952年6月)、『信長』(1952年10月)などについての研究が圧倒的に多い。しかし、18巻ある全集の中には、先行研究で触れていない作品がかなりあり、先行研究で触れられたものでも、まだ研究する余地があると思われる作品が少なくない。本書ではそのような作品を9篇選んだ。第一章では、短篇小説『盗まれた手紙の話』(1940年6月)、長篇小説『イノチガケ』(1940年7月)を、第二章では、短編小説『白痴』(1946年6月)、短篇小説『外套と青空』(1946年7月)、短篇小説『女体』(1946年9月)、長篇小説『不連続殺人事件』(1947年8月)、中篇小説『狼大明神』(1952年5月)、短篇小説『神サマを生んだ人々』(1953年9月)、長篇小説『狂人遺書』(1955年)を取り上げる。確かに、安吾は小説以外に、エッセイや評論なども数多く執筆しているが、小説のみを取り上げた理由は、小説こそ自由に自分の考え方を表現できるのではないかと考えたためである。小説について大江健三郎は次のように述べている。小説による表現によって、書き手は同時代を支配するイデオロギーから自立し、そのイデオロギーそのものを自由に相対化しうる態度を確立しなければならぬからである。それは今日のように、あらゆる事実の奥底に隠微なイデオロギーの浸透があって、その総体がわれわれを拘束してくる時代に、小説の表現の持つ独自の意味を、あらためて認識することである。戦時下のみならず、戦争直後も日本では言論統制が実施されており、厳しい検閲下では、時局に合った作品しか発表できなかった。安吾の場合も、小説という形式でしか時局に抵抗できなかったのである。特に、戦時下の、沈黙せねばならなかった情勢下で、時局に合わせたふりをするならば、小説が*も便利な形式であった。自分の不満、文句などを小説の中に隠して表現することは、大江が述べている「同時代を支配するイデオロギーから自立」できることであろう。たとえば、第一章で取り上げる短篇小説『盗まれた手紙の話』(1940年6月)と長篇小説『イノチガケ』(1940年7月)では、「狂気」という共通点を通して、明らかに戦争と体制側への皮肉が込められている。「狂気」は、安吾が戦時下で描いた小説の中で重要なポイントとなるため、「狂気」を代表する小説を分析することで、安吾の戦時下の思想が見えてくることが期待できる。戦時下、特に一九四〇年代以降になると、一部体制側に統制されたくない作家が歴史小説を書くようになった。そのため、歴史小説には当時の体制側に抵抗する疑いが持たれている。『イノチガケ』は、安吾の*初の歴史小説であり、「狂気」という点だけでなく、歴史小説という小説のジャンルから見ても、当時の「抵抗文学」に入る大事な作品だと考えられる。「狂気」、「歴史小説」という二要素の組み合わせにより、『イノチガケ』は、戦時下の安吾の「抵抗」が集約した作品にもなりうるのである。第二章では戦後の作品を考察しているが、朝鮮戦争勃発前の作品は主に、終戦直後の日本の世相下における民主化への道について描かれている。本書の第一節で四篇取り上げるが、『白痴』(1946年6月)は、戦後への出発の始まりを象徴する画期的な小説として、安吾文学における重要な位置を占めている。戦前と戦後の分水嶺の役割を果たしているこの小説は、終戦直後、混乱した極限状況の中で、絶望に陥りかけた人々に勇気を与えた作品だと言われている。次に、『外套と青空』(1946年7月)と『女体』(1946年9月)は、いずれも「解放」を表象すると同時に、「家制度」の崩壊とも関係している。終戦直後、日本で流行していた肉体文学の一環として取り上げることができる。『外套と青空』と『女体』は、安吾の一連の肉体文学の中で、女性が妾ではなく、妻として描かれている作品である。安吾の肉体文学の中では「妾」を描いた作品も少なくない。しかし、本論がなぜ「妻」という点に拘るのかというと、民主改革による「男女平等」という理念によって、「家」は滅亡という結果を迎えるが、不合格な妻であるほど、「家制度」の崩壊を表しやすいのではないかと考えたためである。*後の『不連続殺人事件』(1947年8月)は、法律改正による殺人事件という点と、一馬家の滅亡という点において、第二節の「解放」と「家制度」の崩壊という主題から外せないものである。同時に、終戦後に流行しはじめた探偵小説というジャンルの一環として、「死」という点において太平洋戦争と関わっているとも言え、安吾の戦争の記憶の表象にもなりうる。もちろん、安吾は、『不連続殺人事件』以外にも探偵小説を書いたが、安吾が完成させた長篇探偵小説の中で、以上の二点をうまく組み合わせた小説という点から言えば、『不連続殺人事件』の右に出る作品はないと思われる。第二節では、『明治開化安吾捕物帖』(1950年10月~1952年8月)収録の「狼大明神」(1952年5月)、さらには『神サマを生んだ人々』(1953年9月)、『狂人遺書』(1955年)を論じる。理由としては、この三つの作品は、朝鮮戦争勃発後の、安吾の憂慮がうまく表現された作品だからである。具体的に言えば、『明治開化安吾捕物帖』シリーズは、安吾が明治時代と戦後との共通性を見出し、戦後の世相を託している小説群であり、第二節はこのシリーズから代表的な作品「狼大明神」を選んだ。「狼大明神」は明治期の神社をめぐって展開されるが、その神社は戦時中「国家の祭祀」として「君臨」した「国家神道」と関係がある、また、その神社像には戦後の神道政策をはじめとする宗教政策及び天皇制を映しているとも考えられる。『神サマを生んだ人々』は、天皇制批判という視点から第一節で論じる天皇制を支えていた「家制度」と呼応する形になりうる。また、戦時下、天皇は、「現人神」として崇められ、軍国主義者に利用されていた。戦後になって「人間」になったものの、朝鮮戦争に直面していた安吾において、その「神サマ」の記憶が再び浮かんできても不思議ではないだろう。小説の題目に「神サマ」を入れた作品は『神サマを生んだ人々』しかないが、その作品の中に、安吾の「神サマ」、つまりかつての「現人神」、ひいては神の名のもとで発動された戦争への、特別な記憶と恐怖が含まれているように思われる。『狂人遺書』は、秀吉の朝鮮出兵を主軸としている。これは安吾が亡くなった年(1955年)に完成した作品であり、彼の息子の誕生との関係が否定できないと言われてきた。「遺書」という点では、彼の息子への遺書という意味だけでなく、自分の死後の日本への遺書という意味も含まれている可能性がある。亡くなった年に完成した点と「遺書」という点で、安吾の文学生涯をまとめる役割を果たしていると思われる。4 研究方法 本書は、同時代の社会、歴史、政治、文化などテクストを照応させる方法を通じ、作品を一篇一篇分析していく。また、戦時下の安吾の時局への抵抗にせよ、終戦直後の憲法支持と朝鮮戦争勃発後の再軍備反対にせよ、安吾の厭戦?反戦情緒から来たものだという考えから、本書は先行研究を踏まえ、戦時下(1945年まで)、戦後Ⅰ(1945年~1950年)、戦後Ⅱ(1950年~1955年)と時間の順に追いながら安吾の代表作品を分析していく。その上で、安吾の特徴を絞ることが本書の目的である。あとがき本書は、広島大学より学位を授予された博士論文をもとに「加除修正」したものである。本書が形になるまで多くの方々のお世話になりました。まず、主指導である佐藤利行先生に厚く御礼申し上げます。佐藤先生はご多忙の身にも関わらず、いつも貴重なご指導をくださいました。華中師範大学時代から続く長年にわたる黒古一夫先生に感謝します。広島大学在学中には副指導の溝渕園子先生と有元伸子先生のゼミにも参加させていただき、大変勉強になりました。また、中村平先生にはいつも本を貸していただいたり、ご意見をいただいたりと、お世話になりました。先生方には感謝の念が尽きません。また、留学を長年支持してくれた両親にも感謝したいと思います。両親の資金面でのサポート、精神的な支えがなければ博士論文を完成することはできませんでした。心から感謝します。さらに、同研究室の学生さんからはいつもやさしく応援していただき、充実した留学生活を送ることができました。異国の地で、素敵な仲間と出会え、感謝しております。*後に、もう一度お世話になったすべての方々に厚く御礼申し上げます。

 

 

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